2018/03/09

「そろそろ結婚?」が口癖のお檀家様へのアンサー! 3月お彼岸のお便り!ブログにも貼り付けておきます。3~7分で読めるので、ぜひ!

                                
 
『副住職は勉強への熱が冷めない限り結婚できません』

 今年1月、母方の祖父が数えの98歳で遷化(せんげ)しました。寡黙な祖父で、私はあまり会話した記憶がありません。静岡で僧侶として教育者として、世の為、人の為に生涯を捧げた祖父。霊柩車で火葬場へ向かう際、祖父が長年勤めた学校を通り、生徒が何百人とお見送りするという特別スタイルには圧倒されました。生き様で語るとは、まさにこんな人を言うのだと思います。
  
 2500年前、お釈迦様は80歳で亡くなる直前、いくつか遺言を残しました。その一つが「修行僧たちよ。汝たちに告げる。もろもろの現象は移ろいゆく。怠らず努めるがよい。」これを今の自分に重ねて解釈すると、“祖父が死んだからといって動揺するな。人は生まれたら死ぬ。諸行は無常。だから お前は怠らず修行に励め”となります。
  
 私の修行は、学ぶこと。そして、その学んだことを、お檀家様に伝え喜んでもらえるよう日々、試行錯誤。学ぶ方法は主に読書とツイッター。という訳で今日は日々ツイッターに溢れている「うまいこというな~」をご紹介。
                   
                
□教養は人生のどんな場面で必要?
   
    
 このつぶやきに対しては、ご高齢のお檀家様から、「老眼で字が見えんから読書できん」「本を読む気力がない」とツッコまれそうです。返す言葉がありません。そんな方は読書せずとも現状に満足できている幸せな方。仏教で“諦める”は“明らかにみる”という意味ですが、いい意味で“諦めている”または“達観している”ともいえるかもしれません。つぶやいた方も、人生が幸せな場面ではなく、逆境の場面、つまり不幸せなときにこそ、教養は力を発揮すると考えています。
    
https://twitter.com/furukawa1917
 
 仏教も同じです。「生きることが苦しい」と思う場面でこそ出番。その苦しみについて、お釈迦様の教えが、原因を説き示し励ましてくれます。なので、今が最高に幸せな人、また悩みのない人に説く仏教は、はっきりいって大きなお世話です。

※易しい仏教入門 お勧め本
だから仏教は面白い!  / 魚川祐司
漫画 ブッダ / 手塚治虫
                   

 □勉強、勉強、うるせー、大きなお世話!
 そんな大きなお世話も僧侶の大事な役割の一つ。10年前、私が永平寺へ修行に行く準備の際にお世話になった、岐阜の千手院さんのツイート。
 
  https://twitter.com/senjuin1010
     
  他にも、勉強の大事さをやや深刻に訴えかけるこんなツイート。
 
      
 大人になった今は、これらを素直に受け入れられます。しかし若い頃の自分にはおそらく響きません。意味を理解する気もなく「はぁ?うるせえ!」と一蹴していたでしょう。この問題は未だに解決できません。
 そんな私が、仏教の面白さに気づき、熱心に勉強するのは、ここ数年。自分にとって大事な“何か”に気づく時期は人それぞれです。そのきっかけをつくれるよう大きなお世話に磨きをかけるのが、私の生き甲斐です。

※お勧め漫画 発売から半年で200万部本突破!
「君たちはどう生きるか」
原作 吉野源三郎、羽賀翔一の漫画
                   

 □人生を楽しみ尽くす為にも教養は必須
 教養は、苦しい状況を乗り越えるときだけに力を発揮するわけではありません。人生を人一倍楽しむ為にも大切です。
 

  https://twitter.com/fukazume_taro

 宮沢賢治は仏教の熱心な信仰者です。シン・ゴジラの物語は、仏教の考え方が土台になっているといわれます。興味のある方は「『春と修羅』から見えてくるシン・ゴジラの核心」池田信太朗氏の記事を是非!
 
 このような知識があると、人一倍映画も楽しめます。他にも有名な映画だと、スターウォーズやマトリックスも仏教の考え方、世界観が取り入れられています。世界中で受け入れられるエンターテーメントの物語の構造を理解するのにも教養は必須。日本でも、椎名林檎さんの作詞は、仏教を知っているとより深く理解できます。
                   

 □教養とは「人の心がわかること
 ここまで、教養という言葉が何度も出てきましたが、そもそも教養とは一体何でしょうか?辞書には、「学問・知識を(一定の文化理想のもとに)しっかり身につけることによって養われる、心の豊かさ。」とあります。教養については著名人のこんなツイートがあります。※養老孟司:解剖学者、東京大名誉教授
     

  https://twitter.com/kenichiromogi
      
 世界中に信仰者が5億人といわれる仏教の教えも、煎じ詰めると「人の心がわかること」つまり「思いやり」が大事と説いています。
 人の心がわかるかどうか。これは人生の一大テーマです。人の心がわかれば、喧嘩も減ります。相手を怒らせず、喜ばせる行動が取れます。仕事ができる営業マンになれます。同性からも異性からもモテます。向かうところ敵無し。考えてみれば世の中の成功者は、誰もが痒い所に手が届く。つまり人の心がわかる人。
 仏教では修行の完成を、悟りとか涅槃(ねはん=ニルヴァーナ)とか解脱(げだつ)といいます。私の修行の完成は、人の心がわかること。それが私にとっての悟りです。

※玄人向け仏教入門 お勧め本
仏教思想のゼロポイント/ 魚川祐司
                   

 □教養の身につけ方
 人の心がわかる。教養を身につけるには、筋肉を鍛えるのと同じように厳しいトレーニングが必要です。羽生善治氏の言葉が去年ツイッタ―で話題になりました。彼の考える究極の学習とは、要するに、人の心がわかる為のトレーニングです。
  
 https://twitter.com/ikedaosamu/status/940789175493824513
       
 人の心がわかる。これは決して、他人だけのことではありません。羽生さんの言うとおり、自分のことも知らなければなりません。自分の心もわからない人に、人の心はわかりません。今自分が何を考えているのか?何を望み、何を欲しているのか?これが正確にわかれば、それに従って生活すればいいので、悩みも減ります。しかし多くの人はコレができない。なぜなら自分の心、気持ちはコロコロ変わるから、うまく捉えられない。
 更に人間は自分独りで生活している訳ではない。私たちは家族をはじめ社会の中で沢山の人と関わり合いながら生きています。だから仮に自分の心がわかったとしても、相手や社会の事情が複雑に絡み合うので、自分の思い通りには物事は進まない。当たり前の話です。だから私の望む悟り、人の心がわかるようになるのは、非常に難しい修行。

 ですが近年、この修行が世界各地で流行しています。アップルの創業者スティーブジョブズは禅(ZEN)に傾倒していました。その禅をアレンジした「いま、ここ」に集中する瞑想プログラムの総称がマインドフルネス。これがアメリカのシリコンバレーを中心に大流行。グーグルの社員の10人に1人がマインドフルネスを実践しています。日本でも雑誌ブルータスで「みんなのZEN」特集が組まれ、禅僧 藤田一照老師をはじめ著名な僧侶が取り上げられました。

 このマインドフルネスは、突き詰めると、人の心をわかるための訓練プログラムです。曹流寺でも去年6月、婚活パーティと併せて、講師(先輩 多賀宗恵氏)を招き、マインドフルネス坐禅体験をしました。マインドフルネスの詳細は、また機会があればお話します。
                   

 □世界で500万部売れる教養を身につける為の本
 流行は、マインドフルネスだけにとどまりません。近年世界で500万人以上が教養を身につけるために読んだ本があります。日本でもビジネス書大賞2017のグランプリに輝いた「サピエンス全史」。この本は、私たちホモ・サピエンスが、約1万年前から今日まで歩んできた歴史を約500ページで解説しています。そして、全体の1割程度ですが、仏教も凄く丁寧に解説されています。近年、仏教を世界に一番広く布教したのは、僧侶ではなく、この本の著者で歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリでしょう。歴史とは、(※1)これまでに生きた人の心を集積した記録といえます。つまり、これを読めば教養マスター(特に下巻がお勧め)。世界の有名人も軒並みレコメント。
      
※1:人類が誕生してから累計人口は約1080億人と推計(米国NPO PRB,2011年調)

* 実に魅力的で、刺激的な書 / バラク・オバマ

(妻の)メリンダも私もこの本を読み、夕食の席で多くの豊かな会話を交わした。ハラリは人類のすべての歴史を400ページで語るという、手強い挑戦に取り組んでいる。彼はまた、現代の我々人類についてや、人工知能や遺伝子工学、そのほかのテクノロジーが未来において我々をどのように変えるのかについても書いている。(中略)私は『サピエンス全史』を歴史や人類の未来について興味のあるあらゆる人に薦めたい / ビル・ゲイツ

* 次の私の「今年の一冊」は、ユヴァル・ノア・ハラリ著『サピエンス全史』だ。本書は人類の文明についてビッグ・ヒストリーのように綴った本であり、初期の人類がどのように狩猟採集から発展し、今日の社会や経済を組織したのかを読み解くものである。/ マーク・ザッカーバーグ(Facebook創業者CEO)

* 別に書いてあることは当たり前のこと。みんな、当たり前とは思ってないのかな。今でも満員電車で通っている人たちも農耕社会の名残みたいなもの。何千年も続いた社会規範をなかなか捨てることができないから、サピエンスとは矛盾をはらんだ生き物である。矛盾を受け入れる柔軟性がサピエンスのサピエンスたるところ / 堀江貴文

こういう人類史の本で幸せかどうかを問題に立てる本にはじめて出合った。 / 池上彰

 最後まで読んで頂き有難うございました。このように私はツイッタ―と読書で頭が一杯なので、婚期は大幅に遅れます。どうか皆様温かい目で見守って下さい。合掌(3月お彼岸お檀家様へのお便り・加筆修正)
                   
追記:500ページも読むの無理という方は、これらのリンク先の記事で、サピエンス全史図解(詳説版)3分で大枠をチェック読書ノートぜひ!
                   
 これからの世界をつくる仲間たちへの慈愛に満ち溢れた記事。私は東洋的発想を身につけることで頭が一杯なので、むにゃむにゃ…。落合氏、記事中盤でマインドフルネスにも言及!これは必必必!読。
    
>より分かりやすい例として、近年アメリカを中心に流行している「マインドフルネス」が挙げられます。「イマ・ココ」における内面的・外面的な経験に注意を向けることそのものが瞑想であるべきにもかかわらず、心理的に獲得したい成果や効果を求める時点でそれはマインドフルネスではありません。
                   
追記(3/16)、多賀宗恵兄、嘉奈子姉、千葉先輩、ひろみ、そして、しみさん!いろいろ意見有難うございました~!参考にして励みま~す!合掌

□改善ポイントまとめ
 記事長過ぎ、話アチコチ飛び過ぎ(要点多過ぎ)、正論きつい(疲)、等。これらは意識して改善できるよう心掛けるとして、一番有難かった指摘がコレ。

“どうしても記事の書きっぷりが、仏教を人生の処世術の道具に使おうとしている節が随所にみえる。”別の言い方だと、“人生に仏教を取り入れると、心が穏やかになって生き易くなりますよ”という取り引き的思考回路。これをしている間は、仏教の真骨頂というか、一番美味しい部分を味わうことはできない。
      
 この指摘に関しては、去年の今頃も、全く同じ主旨の自省を、ブログ(<仏教3.0>を哲学する感想)に書いてました(汗)。
                   
 私の今年一発目 渾身のラップも、聞いてください!合掌





                   
追記

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